当初は「大麻のような植物片が見つかった」という報道があったが、その後、明らかに乾燥大麻らしきものがビニール袋に小分けされていた、との報道もある。日大は早い段階で大麻だと気づきながら、それを警察に伝えずに2週間も放置していた可能性が指摘されている。
8月2日、林真理子理事長は「違法薬物は見つかっていない」と発言して批判を浴びたが、発言当時、理事長には正しい情報が伝えられていなかった可能性もある。
「大学のトップとして、学生を信じたい気持ちはわかります。もし、一部の人は事実を知っていたけども、理事長は聞かされていなかったのであれば、責められるのはかわいそうだと思います。結局、林理事長はお飾りの存在で、黒幕がいる、ということでしょう」
2年前、脱税事件で逮捕された元日大理事の井ノ口忠男氏は、田中英寿元理事長の側近として学内で強い影響力を誇示していたとされる。
井ノ口元理事は日大アメフト部のOBで、悪質タックル問題が起きたとき、選手に口封じを図った。第三者調査委員会は、井ノ口元理事を「理事の立場にありながら隠蔽工作を行い、真相解明を妨害した」と厳しく断じた。
そのような体質が残っていないか、吉田さんは懸念する。
昨年、理事長に就任した林氏は日大改革の象徴である。7月の記者会見で、改革は「今は6合目」と語った。本当にうみを出し切れるのか。今回の事件が正念場になりそうだ。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)