竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 私たちローソンの国内店舗数は現在、約1万4600店。一方、中国ではこの8月で6千店舗を突破する予定です。

 中国では初の日系コンビニとして1996年に上海市に進出して以来、2014年から各地の地場小売企業とのメガFC(フランチャイズ)契約などを通して、出店エリアを拡大してきました。

 最初の10年ほどは苦労もありました。町に住む人たちの暮らしをよく理解し、「その町に暮らす人たちにとっての便利さ」に応えながら商品やサービスを提供していくことが大事。それをあらためて学ぶ機会になりました。

「中国の町の皆さんのローソン」になろう。地域の方に愛されるお店作りをしよう。その思いを積み重ねていくことで、ご評価いただけるお客様が増え、出店地域も店舗数も拡大してこられたと思います。

 武漢にも400店舗ほどが出店しています。コロナ禍ではそのローソンの店舗が生活物資の供給拠点にもなっていました。阪神・淡路大震災、3・11、そして本や北海道での地震と大きな災害を乗り越える中で、私たちが皆さんに商品とともに安心、安全を届けようとやってきたそのままの光景が、新型コロナ発生直後の武漢にもありました。

中国のローソンの店舗

 日本でも中国でも、店舗のある町をしっかりと守り抜くのだという思いは、ローソンに脈々と受け継がれるDNAだなと感じます。有事に際しては一生懸命に町のために尽くしていく。そして平時にはさりげなく、町の皆さんの日常生活を「便利」で支え続けていく。私たちの思いはどこで店を出しても一緒です。

 今後、25年のローソン創業50周年には中国で1万店舗を目指します。そしてその先、いつ日本での店舗数を抜くことになるのか。どういうふうに中国の皆さんに愛されるお店作りをしていくのか。そんなことを楽しみに、真摯に努力し続けたいと考えています。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2023年8月14ー21日号