(撮影/上田泰世・写真映像部)

 最近は息子たちのような若い人たちが、将来に希望を持って働けているのか、毎日楽しく生きているのか、ということが気になるようになった。自分たちの世代が楽しく生きている姿が彼らのロールモデルになったら、というメッセージを込めた決断でもあった。
 

「独立」について、息子たちには相談はしなかった。

 ただ、「決めたよ」と伝えた。

「『まじ?』と言われましたが、そんなに驚くわけでもなく、お父さんらしいかもねと面白がってくれる反応でした。彼らは彼らでやりたいことを選んで突き進んでいますし、僕もやりたい道を選ぶ姿を見せることができた。それでいいんだと、改めて親子で認識し合えたようにも思います」
 

自分の足で歩くこと

 人生には選択がつきものだが、どの道が正解かはわからない。たとえつまずいても、やり直すことになっても、選んだ道を一生懸命に歩いていくことが大事だと思う。そして、武田さん自身が自分の足で歩いていけるようになれたのは、武田さんの親のおかげだと思っている。

「そのことをどうやってわが子に教えるのか。親の生き方が影響するかもしれないし、真面目に日々生きることの積み重ねかもしれない。生き方の根っこを育むのが、子育てなんだと思います。親が『なめるように可愛がる』ことで、常に味方であることを伝え、寄り添っていくことが大切なんだろうと考えています」

「可愛がること」の度が過ぎて、自分の考えを押し付けてしまって息子からあきれられ、反省することもある。でも、本当にたくさんの幸せを、子どもたちからもらってきた。

「この先も、ただただ、息子たちの幸せを願っています。親って、本当にこんな気持ちになるんですね」

(AERA dot.編集部・市川綾子)

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