一部の利用者の安全意識が低いことも気がかりだ。電動キックボードを利用する際はナンバープレート、ウィンカー、最高速度で点灯する緑色のランプが必要で、運転者は自賠責保険への加入が義務づけられているが、新宿や渋谷の車道を駆け抜ける電動キックボードを確認すると、ナンバープレートをつけていない車両が少なくない。
民放テレビ局の記者は、「店頭より破格の安さでネット販売している電動キックボードはナンバープレートがついていないケースが目立ちます。安全面でも不安がある作りで、事故に遭うリスクが高い。自賠責保険への加入が義務であることを認識していない利用者も目立ちます。購入方法のルール作りは再考の余地があると思います」と警鐘を鳴らす。
電動キックボードは欧米で普及が進んでいるのを受け、日本でも規制緩和の動きとなったが、実情は国によって異なる。英国は電動キックボードの事故件数が急増している状況を政府が重く受け止め、一部の実証実験地域をのぞき、公道での走行は禁止されている。
仕事で赴任した米国で電動キックボードを利用していたという50代の男性は、日本に帰国後は利用していないという。
「米国は公道が広いし、自転車、電動キックボードの専用レーンを設置した公道が多かったので利用していましたが、日本は公道が狭いし、専用レーンも少ない。ヘルメットなしで車の間をすり抜けるように走行するなんて怖くてできません。政府は電動キックボードの普及拡大を目指しているかもしれませんが、交通の安全面が大前提です。免許制の導入、ヘルメットの装着を義務化するなどやらなければいけないことがあると思います」
今後も電動キックボードの利用者は増加の一途をたどるだろう。対策が遅れれば、事故件数も増える懸念について考える必要があるだろう。
(今川秀悟)