快適な乗り物だが、交通ルールを守らなければ大きな事故につながる恐れがあることも忘れてはいけない。警察庁のまとめによると、<電動キックボードに関連する交通違反・事故の発生状況>の事故件数は2020年が4件、21年が29件、昨年が41件と年々増加している。20年~今年1月の事故件数は計76件で、発生場所は東京都が51件と圧倒的に多く、大阪府が6件、神奈川県が5件で続く。事故の相手は自動車が31件、自転車が14件で、合わせて全体の6割近くを占めた。昨年9月には男性が都内のマンション駐車場内で電動キックボードを運転中、方向転換して走り出そうとした際に車止めに衝突。前から倒れて頭を強く打ち、搬送先の病院で亡くなった。電動キックボードが絡む事故で死亡者が出るのは初めてだった。警視庁は男性を道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで容疑者死亡のまま書類送検した。
20代の男性は電動キックボードで深夜に都内の公道を走行した際、転倒したという。
「雨が降った路面で思ったより滑るなと怖さを感じていたのですが、道路の段差に前の車輪が引っかかってそのまま前のめりになって転びました。自転車を運転している時だったらこれぐらいの段差でバランスを崩さないだろうという感覚だったので、びっくりしました。車が走っていなかったのでかすり傷ですみましたが、交通量の多い時間帯だったら転倒した状態でひかれていたかもしれない。ゾッとしましたね。今は慎重に運転していますし、雨が降っている時は安全面を考えて利用していません」
21年9月~今年1月の検挙件数は計2014件。通行区分の違反が最も多く1116件で、信号無視が437件だった。乱暴な運転で電動キックボードが凶器となる恐れがある。21年5月に大阪府内の歩道を電動キックボードで走行していた男が女性にぶつかって転倒させた。首の骨を折る重傷を負わせたのにそのまま逃げたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)、道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕された。その後、大阪区検は、同法違反と道交法違反(ひき逃げ)で大阪簡裁に略式起訴したと発表。