例えば住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して扱う全期間固定の「フラット35」や、民間金融機関の全期間固定型の住宅ローンなどが挙げられます。

 月末は住宅ローンの金利見直しのタイミングにあたります。早いものでは8月1日から、多くは9月から、金利が上昇した場合の影響が反映されることになるでしょう。

 一方で、日銀は短期金利については現状の政策維持を決めました。そのため「変動型」の住宅ローンの金利は変わらないとみられます。

 現在は変動型と固定型の金利の水準は、まだかなりの開きがあります。今回の日銀の決定を受けて、長期金利が上昇しても、その差を埋めるまでには時間がかかりそうです。

 繰り返しますが、今回の決定をみると日銀は緩和策を本格的に見直したわけではなく、これからどんどん金利を引き上げていくかどうかはまだ分からない段階です。ですから、今回の決定で長期金利がちょっと動いたからといって、早々に借り換えまで踏み切ってしまうと、場合によってはかえって損をしてしまうことにもなりかねません。

 日銀の決定を受けて長期金利がどう動くかや、自分のローンの状況などをしっかり見極めてから判断しても遅くはないと思います。慌てて見直したり、借り換えをしたりする必要はないでしょう。

 資産運用の面では、個人投資家向けの国債のうち、変動金利タイプの「変動10年」は利回りが上がって有利になる可能性があります。

 満期は10年で、適用利率は実勢金利に応じて半年ごとに見直される。今回の決定を受けて、今後、金利が上がれば恩恵が受けられます。

 金利が上昇すると、貯蓄型の生命保険商品の予定利率が改善する可能性もあります。

 保険各社の判断になりますので、実勢金利が上がったからといって、必ずしも予定利率が上がるとは限りません。でも日銀がYCCの変動許容幅の上限をそれまでの0.25%から0.5%に引き上げた昨年12月の決定を受けて、今年に入ってから予定利率を引き上げたところもありました。

 予定利率が上がると、同じ保険金をもらうのに必要な保険料は少なくて済みます。最近は低金利が続いて目を引きませんでしたが、予定利率が上がれば運用手段として注目度が高まる可能性があります。

(AERA.dot 編集部・池田正史)

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