日本銀行は7月28日に緩和策の柱の一つ「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の運用方法を見直した。住宅ローンや資産運用など家計への影響や備え方について、ファイナンシャルプランナー(FP)でファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんに聞いた。
日銀は7月27~28日に開いた金融政策決定会合でYCCの運用方法を見直し、長期金利(10年物国債利回り)の変動許容幅を従来のプラス・マイナス0.5%程度に維持したうえで、市場の動向に応じてその上限を1.0%程度まで認めることに決めました。
ただし、今回の決定は緩和策の本格的な修正や見直しというよりも、運用方法の見直しという調整的な変更にとどまると言えそうです。緩和策の「正常化」や「出口」への第一歩などと受け止めてしまうのはちょっと違うように感じます。
確かに、金融政策決定会合のあった7月28日の金融市場は大きく動きました。しかし、それは大きな政策変更があったためではなく、日銀がもともと何もしないと考えられていたからです。28日未明の報道で政策の変更が議論されると伝えられ、金融市場においてはサプライズとなりました。
とはいえ、家計に何も影響はないかというと、そうではありません。やはり影響はあるでしょう。
真っ先に思いつくのは、一定期間の金利が変わらない「固定型」の住宅ローンです。特に完済するまで金利が一定の「全期間固定型」。こうしたローンを新規で借り入れをする場合には、金利が上がる可能性があります。すでに借りている人は影響ありません。
この全期間固定型や、一定期間の金利を固定してその後に金利タイプを選ぶ「固定期間選択型」は、長期金利に連動して固定金利の水準が決まります。今回の日銀の決定を受けて長期金利が上がれば、こうした住宅ローンの金利も上がる可能性があります。