「この通りをずっと歩いてきたけど、ここだけ不自然に枯れている。この季節にこんな枯れかたはしないよ。土も白っぽいし、怪しい。これ除草剤じゃないか?」
と、土をいじりながら話した。
近くのガソリンスタンドの店員は、
「報道を見て、『枯れてないよね』と思ってよく見てみたら、枯れていてびっくり。いつから枯れていたのか」
と、いぶかしんでいた。
店長は「答えられない」
実際に除草剤が撒かれたのか。記者が「環八世田谷店」を訪れると、店長を名乗る人物が対応した。
記者「店舗前の街路樹が枯れているが、除草剤を撒いたのでしょうか」
店長「本社から現場で答えるなと言われているので、お答えできません」
記者「撒いていないなら、そう答えればいいと思いますが」
店長「本社が調査すると言っているので、本社に聞いてください」
記者「撒いたことを否定しないのでしょうか」
店長「……お答えできません」
本社からの指示で「答えられない」の一点張りだったが、否定もしなかった。
実態はいったいどうなっているのか。取材を続けると、都内の店舗で働く従業員が、匿名を条件に証言してくれた。
「除草剤は撒く店舗もあれば、撒かない店舗もある。例えば、いま自分がいる店舗は撒いていないし、前に所属した店舗でもそういうことはなかった。
ただ、幹部が店舗を評価するポイントに、店舗前の出入り口付近を整備するというのがある。店舗によっては除草剤を撒いて過度に対応してしまうことがあるようです」
小池都知事も「言語道断」
現在、ビッグモーターが店舗を構える地域の自治体が、実態調査に乗り出している。
東京都は、都道に面するビッグモーターの街路樹の調査を開始した。都内には該当する店舗が16カ所あり、そのうち店舗前に街路樹があるのが14店舗。都職員が目視で確認したところ、街路樹が枯れている店舗が8カ所あった。今後、14カ所で土壌調査をするという。
また、1カ所ではだれかによって伐採されており、都は被害届の提出について警察と相談中だ。さらに除草剤が検出された場合にも被害届を提出し、誰が撒いたのかわかれば賠償などを求めていく意向だ。