瑠奈容疑者らの自宅の近隣住民がこう話す。

「娘さん(瑠奈容疑者)の姿を見ることはまったくなく、小学5、6年生のころから引きこもっていましたよ。高校にもほとんど通っていなかったようです。父親が医師であるのは誰もが知っていました」

 修容疑者の講演会のプロフィルなどによると、1988年に旭川医大を卒業後、札幌市内の総合病院に勤めるようになった。職場のメンタルヘルス、地域のホームレス問題などにも取り組んでいた。また、2018年には海外に派遣される自衛隊員のケアを手掛ける「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」を発足させ、代表幹事にも就いていた。過労死などが裁判になると、意見書を書いて提出することもあった。

面倒見のいい先生

 AERAdot.が入手した、修容疑者が基調講演した2021年11月1日のシンポジウムの録音を聞くと、修容疑者は「若者の自殺を防ぐため企業・自治体ができること」というテーマで1時間近く話し、質問も受けていた。

「企業と自治体ができること、とテーマにはありますが、何ができることなのか、皆さんと一緒に考えましょう」と呼びかけ、自殺とストレスの関係について、

「本来ストレスは有益な生体反応です。しかし度がすぎると健康被害となります。ストレスは人生のスパイスという人もいます。ストレスがなければ味気ないけど、多いと食えない。適度なストレス、プレッシャーは生産性が上がる。ひどすぎると燃え尽きる。ほどほどのプレッシャーは、健康にはプラス。そのほどほどが難しい」

 などと説明していた。そして、若者について、

「今の若者はバブルで失われた30年という時代に生まれてきたロスジェネ世代。失敗のできない社会、正社員になれるか非正規か。正社員だと賃金が右肩上がりだけど非正規だと頭打ち、つまりワーキングプア―。過労死をせずにどうすればいいのか、前向きな感覚が持てるのか」

 などと話していた。

 修容疑者を知る病院関係者は、

「『田村式精神科臨床』という独自のやり方で治療、ケアをしていて、優しく非常に面倒見のいい先生でした。今回の事件を知り、驚くばかりです」

 と話す。

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