浦和に加入した安部裕葵※画像はU-22日本代表でのもの
浦和に加入した安部裕葵※画像はU-22日本代表でのもの
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 J1リーグは全34節中21節までを終え、8月以降の戦いに備えている。すでに上位、中位、下位の“棲み分け”が定まったように感じるが、その勢力図が劇的に変わる可能性があるのが「夏の移籍」である。まだ移籍期間ではあるが、現時点で各チームにどれほどの戦力値の増減があったのだろうか。(移籍情報は7月24日時点のもの)

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 確実に戦力アップに成功したのが、現在3位(勝点39)の名古屋だ。切れ味鋭いドリブルに得点力も兼ね備えるFW前田直輝が、海外挑戦から1年半ぶりに復帰した。ユトレヒト(オランダ)ではデビュー戦で骨折するアクシデントで長期離脱となったことが大きく影響して本来の力を発揮できなかったが、すでに怪我は完治しており、名古屋時代に在籍3年半でリーグ戦出場111試合26得点の成績を残した実力は本物だ。

 まだ28歳という年齢も魅力で、左ウイング、シャドーの位置で先発でも途中出場でも起用できる。さらに、日本人離れしたスケールを持つ大型ストライカー・中島大嘉を札幌からレンタルで獲得したこともプラスで、ユンカー頼りの最前線にまた違った武器を手に入れたことになる。サポーターとしては甲田英將、石田凌太郎の他クラブへレンタル移籍に関しては複雑な思いはあるだろうが、今季の戦いにおいては大きなマイナスにはならない。

 楽しみなのが、現在4位(勝点37)に付ける浦和だ。モーベルグと松崎快の2人をレンタルで放出したが、ベルギーから宮本優太を復帰させ、さらに元鹿島でバルセロナBに所属していた安部裕葵の獲得に成功。さらにタイ代表のMFエカニット・パンヤもレンタルで加入することが決まった。宮本は現状、酒井宏樹のバックアッパーとしての役回りになるが、運動量豊富な右サイドバックとして実力は折り紙付きだ。

 安部は負傷による長期離脱もあったことから未知数な部分はあるが、元々持っていたテクニックの高さとメンタルの強さにスペインでの経験を加えてどう成長しているのか。非常に楽しみだ。現段階において名古屋と並んで「夏の移籍」での戦力値アップに成功しており、横浜FMと神戸の上位2チームへの追撃体制を整えている。

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上位で“戦力マイナス”のチームは?