■王座戦の挑戦者決定戦


 藤井は史上最年少17歳で初タイトルの棋聖位を獲得し、20歳にして早くも4連覇を達成した。藤井はここ4年、棋聖戦を制したあと、7月19日の誕生日を迎えている。


 21歳になったばかりの王者・藤井は今年度中に全八冠を制するのか? その道のりを改めて整理しておこう。


 王位戦七番勝負では現在、藤井が2連勝で佐々木挑戦者にリードしている。現在の通算成績は藤井7勝、佐々木3勝。データ上からは、藤井防衛の可能性が高いと言ってよさそうだ。


「…無念。大地よ、もっと強くなれ」


 棋聖戦閉幕後、佐々木の師匠の深浦康市九段はそうツイートした。ここから佐々木が巻き返す可能性も、もちろんある。


 八冠目となる王座戦では8月4日、挑戦者決定戦がおこなわれる。藤井の前に立ちはだかるのは、前期王座挑戦者の豊島将之九段だ。ここまでの対戦成績は藤井21勝、豊島11勝。直近では藤井が8連勝している。とはいえ依然、藤井がもっとも多く負けている相手は豊島だ。


 藤井はタイトル戦の番勝負を16期連続で制している。一方で一発勝負のトーナメントでは、さすがの藤井も何度も敗退してきた。対局前の振り駒によって、若干不利な後手番を引く可能性もあるだろう。


 挑戦者になれば最後の関門として待ち受けているのが永瀬拓矢王座だ。王座戦五番勝負は例年、9月から10月にかけておこなわれる。八冠の可能性が高まれば、またもや空前のフィーバーが起こりそうだ。(ライター・松本博文)

AERA 2023年7月31日号

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