「一軍出場がなかった2021年は口数も少なくなっていた。素直で真面目な男なので、(二軍施設の)鎌ヶ谷で黙々とバットを振っていたのが印象的。スイングスピードとリストの柔らかさは天性のもの。きっかけ次第でさらに大きく飛躍すると信じている」(日本ハム関係者)

 戻りつつある自信が行動も変化させている。今春のキャンプでは連日の居残り練習を行い、打撃はもちろん守備でも自らをイジメ抜いた。「本塁打が当たり前という選手にならないといけない」「守備でも信頼を勝ち取りたい」と常に前向きな言葉が聞かれた。

「村上との差も縮めて、いつかは超えたいと思っているはず。高校時代までの評価は清宮が上だったが、プロでは立場が逆転して今では大きな差がついた。口には出さないが相当、悔しいはず」(日本ハム担当記者)

 高校時代は清宮が名実ともに上だった。しかし清宮のハズレ1位でヤクルトに入団を果たした村上は、昨シーズンに史上最年少で三冠王を獲得するなど「村神様」と呼ばれ、3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンの4番も務めた。一方で清宮はやっとレギュラーのポジションを確保しようとしている段階だ。

「清宮は木製バットへの対応などにも苦しんだ。周囲の期待が高かった分、プロに慣れる時間が持てないまま即座に一軍で起用されたのもマイナスだった。村上は二軍でしっかり鍛え上げられ才能を磨ける時間が持てた。球団方針の違いも大きな差を作り出した原因だろう」(在京球団編成担当)

「高校時代の延長でも打てる、と思っていた部分もあったはず。10代の若者ならば思い上がっていても仕方ない。今は苦労を重ねて壁を乗り越えようとしている。村上が立ち止まっている間に少しでも近づき、まずはライバルと呼べる場所にまで行って欲しい」(日本ハムOB)

 今季の2人は対照的な働きを見せている。清宮は手応えを掴みコンスタントな試合出場ができるようになりつつある。対する村上は昨年とは別人のような不調に悩まされ、チーム低迷の戦犯とまで言われるほどだ。

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村上との差は今後縮まるか?