岸田首相の不支持率が高まっている。朝日新聞が今月15、16日に実施した世論調査によると、岸田内閣の不支持率は4ポイント増加の50%になった。主な政策の評価については、物価高騰の対応で「評価しない」が77%と特に高い数字だった。岸田首相の経済政策の問題点はどこにあるのか。経済アナリストの森永卓郎さんに聞いた。
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岸田内閣の不支持率が50%になったということですが、支持する人たちがいまだに37%もいるということが信じられません。
岸田政権が行っている経済政策は最悪です。というのも、景気が沈み込んでいるときに、歴史上類を見ない、空前絶後の財政引き締めをやっているからです。
安倍政権のときの2020年度の基礎的財政収支は80.4兆円の赤字でしたが、23年度は10.8兆円の赤字になっています。物価高など経済状況が厳しいときは財政出動をして経済を支える必要があるのですが、岸田政権は逆に財政支出を絞り込んでいることがわかります。安倍政権のときと比べて、70兆円もの緊縮です。
具体的な施策を見ても、いま国民を苦しめている物価高の対策に取り組んでいるとは思えません。
今年から電気代・ガス代の補助金が出ていますが、9月使用分までで終わる予定です。ガソリンの補助金についても6月から縮小されており、9月末には打ち切られる予定です。
また、新型コロナ対策も打ち切っています。政府はこれまで中小企業向けに実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を実施していましたが、その返済が今月から本格化しています。
ウィズコロナの社会になったとはいえ、まだコロナの影響から経営の苦しい企業は多いです。当初は「徳政令」(債務の減免)を出すとも言われていましたが、結局実施せず。多くの中小企業が倒産しています。
■さらに増える国民の負担
これだけではありません。今後、庶民の負担はどんどん増えていくと見られます。