岸田首相は防衛増税を掲げて、消費税や所得税から財源を賄うことも検討しています。また、高齢者の社会保障の歳出を削減し、公的年金の支給額も引き下げる方向で動いていくでしょう。
首相の諮問機関である政府税制調査会が出した答申では、配偶者控除や扶養控除、生命保険控除の見直しが盛り込まれています。さらには会社員の退職金や、現在非課税の通勤手当や社宅の貸与も狙われており、課税の見直しが検討されています。
いずれもひどい話ですが、会社に通勤するだけで税金を払わなければいけないのでしょうか。まさにサラリーマン増税、弱者への増税で、庶民から搾れるだけ搾り取ろうとしている意思を感じます。
目玉政策も効果は中途半端です。
少子化対策では「異次元」をうたっていますが、政府が検討する児童手当の拡充と税制見直しは低中所得世帯にまったく効果のない施策になっていることがわかりました。
第一生命経済研究所の試算では、子ども1人で親の年収(共働き夫婦で収入が多いほうの額)が300万円の世帯だと高校卒業までの増収分が約20万円である一方で、年収900万円と1100万円の世帯は110万円超増えます。しかも、年収800万円の世帯ではたったの約3万円増でした。富裕層が特に増収になる仕組みになっています。
■岸田首相がめざすものは
岸田首相はいったい何をしたいのか。それは財政の健全化です。岸田首相はたびたび財政健全化の目標について言及しています。国民の生活については本気で向き合っていないんです。
財政健全化の前提にあるのは、国の借金が1000兆円以上にも上っているということです。ただし、この認識は間違っています。
財務省が発表している20年度の政府の連結貸借対照表を見ると、1661兆円の負債がある一方で、資産も1121兆円あります。差し引き540兆円の借金ですが、日銀が保有する資産と負債もあわせて考えると、日本の借金はわずか8兆円になります。