飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回ご紹介するのは、東京都在住の40代の医療職、一二三紀子さんのお話です。この春、2匹の猫がいる家に雄猫を迎えました。元飼い主さんが亡くなり、愛護団体に引き取られたシニア猫でしたが、初対面で紀子さんの夫の膝に乗ったそう。とても人懐こい“新たな家族”の話を聞きました。
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今春、我が家に新たな猫を迎えました。名は「まるお」。顔が“まんまる”なのでお父さん(主人)がそう名付けました。体はわりと細くて顔が丸いので、サマーカットしたトイプードルのように可愛いんです。
「まるお」はもうすぐ8歳ですが、じつは元々「チャコ」という名で、一人暮らしのおじいさんに飼われていました。その方が亡くなって家に残され、親族からの相談で愛護団体に引き取られたという過去があります。
家にきて5カ月経ち、馴染んでくれた「まるお」ですが、振り返ると短い間にもいろいろなことがありました……。
■初対面で心を打ち抜いた
うちには雌の「アメリ」と雄の「もふたろう」という5歳の先住猫がいます。2匹とも生後半年の時に、保護猫カフェから、ほぼ同時期に迎えましたが、「アメリ」は私にだけ懐き、「もふたろう」は中1の息子と仲良し。しかも、「もふたろう」は内気で自分から人に甘えるタイプでなく、お父さんはいつも「俺の膝にも乗る子がいたらな」と口にしていたのです。
その夢が叶う日が、突然やってきました。
2月、たまたま近くのホームセンターにいったら愛護団体が猫の譲渡会を催していたのです。「可愛いね」と言いながら見ていたのですが、お父さんが「お膝猫に憧れている(今うちにいる子は自分の膝に乗らない)」とボランティアスタッフの方に話したんです。そうしたら、「ここにはいませんが、シェルターにお薦めの子がいるので見に来ませんか」と言ってくださって。