![大学生2人組が献花と一緒に手向けたメッセージ(撮影/上田耕司)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/1/0/840mw/img_10bc3ae7864286df7b75a73cafe3436257479.jpg)
それゆえ、ryuchellさんが亡くなったと知った日は「メチャメチャつらかったです」と話した。
「自分たちを代表している一人が消えてしまったような感覚でした。日本でLGBTQというと、いまだに、どこかお笑いの対象になってしまう。結局、個人のアイデンティティーとして扱われていないんです。ただ“面白系”としてとらえられている社会で、僕自身は生きづらかった。ryuchellさんも大変だったんじゃないかと思います」
もう一人の大学3年生の女性は、フランスの大学に留学し、先月帰国したばかりだという。
「最近、ようやく日本でもLGBTQの議論が活発になってきました。経済産業省の女性用トイレの使用を制限された問題でも、最高裁が違法だとする判決を下して、やっと前進したと思ったら、この問題でがんばってもがいて生きているryuchellさんが命を絶ってしまった。ryuchellさんは真面目で繊細な人だと思う。だから自分が社会でどう生きていこうか、彼なりに精いっぱい模索して葛藤していたと思うんですね。そういう人が生きにくい日本の社会って何なんだろうって。今は、pecoちゃんのことが気がかりです。すごくストレスを抱えているだろうし、彼女が自分自身を責めてしまうのではと心配しています」
取材後、2人からメッセージを書きたいと言われたので、記者の持っていたメモ帳と青いペンを渡した。
2人は「Ryuchellさんへ 勇気を沢山与えて下さりありがとうございました。あなたのおかげで自由に生きることができています」とつづり、花束に添えた。
その4日後の16日。献花スペースには、グレープ味の炭酸飲料を供えて祈る40代の主婦があった。声をかけると言葉少なにこう話した。
「さびしいだろうから、ジュースを持ってきました。近所に住んでいるんです」
塾に通う小学4年生の子どもを迎えに来た40代の主婦は、
「(献花スペースに)じゃがりこが置いてあったから、ryuchellさんが好きだったのかなと思いました。なんかお花を見るとリアルに感じられて、さびしくなりますね」