たとえば、高円宮家の三女・守谷絢子さんは、千葉県にキャンパスのある城西国際大に在籍中、大学の近くの一戸建てから通学していた。

 また、日本の伝統文化を伝える一般社団法人「心游舎」の総裁として全国で活動し、京都産業大や京都市立芸術大、立命館大、国士館大や国学院大などに客員教授や特別招聘教授、研究員などとして務めている三笠宮家の故寛仁親王の長女・彬子さまは、関西に拠点を確保しているという。

 彬子さまを知る人物は、こう話す。

「私が知る範囲では、大学での講演会や特別講義をなさっても公務の一環という形をとり、謝礼を受け取ることはなさらなかった」

 皇族であっても天皇の直系ではない彬子さまや高円宮家の長女・承子さまなど女王が受け取る皇族費は、佳子さまら内親王の7割程度だ。そこから家を維持する人件費や生活費、さらに宮家の女性皇族に限っては学費も皇族費からまかなう必要がある。

 また、活動範囲が広ければ、支出も比例して増える。経済的に余裕のある皇族ばかりではないとは、よく耳にする話だ。

■いっそ御用地を出て

 そうはいっても、世間からみれば少なくない金額を毎年受け取るという「特権」を享受する立場にあるのが皇族だ。皇室に仕えた別の人物も、こう嘆く。

「佳子さまもよいご年齢なのだから、ご両親と距離を置きたいこともあるでしょうと、秋篠宮家に寄り添った感想を漏らす宮内庁の人間もいます。しかし、金銭的な事柄で国民に説明できなかったり、国民の共感を得られなかったりする状況は、皇室にとってよいことではありません。

 それほど、おひとりで暮らしたいのであれば、9億8千万円の『分室』ではなく、いっそ赤坂御用地の外に出て、おひとり暮らしをなさるのもよろしいのではないか」

 宮内庁は今年4月、積極的な広報や情報発信の強化を見すえて「広報室」を新設したばかり。秋篠宮邸の増改築工事における「経費節減」の根拠を示すことこそ、国民との信頼を結ぶ情報発信へとつながるのではないだろうか。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?