トヨタ自動車の豊田章男会長(3月末までは社長)は9億9900万円で8位だった。営業利益や株式時価総額に加え、役員ごとに成果を評価する新しい仕組みを取り入れたことなどにより、報酬は前の年よりも4割あまり増えた。
高い役員報酬を払う企業は増えている。東京商工リサーチによれば、報酬1億円以上の役員がいる上場企業は23年3月期に316社に達し、前の年の289社より約1割増えた。
報酬1億円以上をもらった役員の合計も717人に上り、前の年の667人より50人増と、やはり過去最高を記録した。
データを集計・分析した東京商工リサーチ情報部の坂田芳博課長はこう話す。
「業績など成果に連動する報酬体系への移行が進み、ストックオプションなど非金銭型の報酬を払う企業が増えたことで高額化につながっています」
報酬1億円以上の役員が最も多かったのは日立製作所の20人だ(上の表)。首位は4年連続で、前の年より2人増えた。
2位は伊藤忠商事の14人。昨年の6人から2倍超に伸びた。3位の三菱重工業は10人で、前の年の2人から大幅に増えている。
伊藤忠商事のほかにも、4位の三井物産(9人)、12位の三菱商事(6人)、住友商事(同)など大手総合商社が軒並み上位入り。三菱UFJフィナンシャル・グループや野村ホールディングスの4位(9人)を筆頭に、大手金融グループも上位に入っている。
個人の報酬総額ランキングで上位入りした役員が目立ったZホールディングスは12位(6人)、ソニーグループは7位(8人)、武田薬品工業は35位(4人)。トヨタ自動車は任天堂や日本製鉄、コマツなどと並ぶ22位(5人)だった。
ランキングには実績のある経営者を海外から招くことの多い企業だけでなく、国内の産業をけん引してきた伝統ある企業も多い。頑張りに見合った報酬がもらえれば社員のモチベーションは上がり、その会社で働く夢や目標も広がる。