写真はイメージです。(Gettyimages)
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  東京商工リサーチが6月末までに公表された2023年3月期決算の上場企業の有価証券報告書を調べたところ、役員報酬が最も多かったのはZホールディングスの慎ジュンホ代表の48億6700万円だった。昨年に続いて2年連続のトップだ。23年3月期は報酬1億円以上の役員がいる上場企業の数も過去最多を記録した。高い役員報酬を払う日本企業は増えている。

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 1億円以上の役員報酬を得ている上場企業の役員は、有価証券報告書で開示するよう求められている。

 23年3月期にトップだったZホールディングスの慎代表は、対話アプリ「LINE」の開発に当初から携わり「生みの親」とも言われる。Zホールディングスと経営統合したLINEの経営に長く携わり、Zホールディングスでは製品部門トップを務める。

 慎代表の報酬総額48億6700万円のうち、連結子会社のLINEからストックオプション(株主購入権)44億9900万円など45億6700万円、Zホールディングスから2億400万円、海外のマーケティングやサービス開発を担うLINE子会社「LINE Plus Corporation」から9600万円を得ていた。

東京商工リサーチ調べ。6月30日までに提出された有価証券報告書に基づく。「HD」はホールディングスの略
東京商工リサーチ調べ。6月30日までに提出された有価証券報告書に基づく。「HD」はホールディングスの略

   2位は、ソニーグループの吉田憲一郎・会長兼最高経営責任者(CEO)で、役員報酬総額は20億8千万円。昨年の3位から順位を一つ上げ、報酬総額も前の年よりも約2億円増えた。同グループの23年3月期決算は売上高、営業利益とも過去最高となるなど業績は好調だ。これを反映して、業績連動報酬、ストックオプションともに増えた。4月に就任した十時裕樹・社長兼最高執行責任者(COO)も21位に入っている。

 3位は武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長の17億2300万円。報酬総額は前の年より1億3千万円あまり減ったものの、順位は4位から一つ上がった。

 ウェバー氏のほかにも、4位の医療機器メーカー、PHCホールディングスのジョン・マロッタ前社長や、6位のトヨタ自動車のジェームス・カフナー取締役、12位の損害保険大手SOMPOホールディングスのジョン・チャーマン執行役ら、海外出身者も目立つ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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ストックオプションなど非金銭型の報酬を払う企業が増えた