大宮:鳩山さんから見て、今、国民の怒りって、減ってないですか。
鳩山:減ってる。LGBTQの問題も入管法の問題も、なぜもっと国民は怒らないのかなと思います。
大宮:そうですね。
鳩山:やっぱり、国民に「民主党政権を応援したけれども、結局だめだったじゃないか」「このざまだったら自民党のほうがまだましだ」と思われたのが大きいと思うんですよね。
大宮:そうかな。私は絶望を植えつけられているんじゃないかなっていう気がして。民意が通らないと諦めるくせが付いちゃったのかなと。
鳩山:われわれも大いに反省しなきゃならないのは、政権取った中で、分裂していったことです。
大宮:ああ、そうか、そうか。
鳩山:自民党は政権を取ってから、不祥事を起こした人間がいても、党として守って、すぐ排除したり、分裂したりしないんですよ。
大宮:清濁併せのむのが自民党で、民主党は濁をのまなかったんですね。
鳩山:そうそう。国民にそんなところを見透かされてしまうものだから。
大宮:やってることはよかったけど。
鳩山:主張していたことは、今でも間違ってはいないと思っています。ただ、それをうまくやれなかった。役人も業界団体もアメリカもみんなを敵に回したけど、一つでも、例えばメディアだけでも味方にしておけばよかったと思います。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示。2023年7月11~24日にスパイラルガーデン(東京)で個展を開催
鳩山由紀夫(はとやま・ゆきお)/1947年、東京都生まれ。69年、東京大学工学部卒業。スタンフォード大学工学部博士課程修了。86年、旧北海道4区(現9区)で初当選。2009年、第93代内閣総理大臣に就任。12年、政界を引退。13年、一般財団法人「東アジア共同体研究所」を設立、理事長に
※AERA 2023年7月17日号