「石原氏が、100万票のトップ当選を続けている丸川氏の後継なんてありえないですよ。いくらお父さんが石原慎太郎元都知事で安倍晋三元首相と親しかったとしてもダメです。吉田氏に小選挙区では勝てそうもないから参院とはあきれます。まったく空気が読めていないですね」

 と話すのは、安倍派の国会議員。6月28日の記者会見でも慎太郎氏と安倍元首相の名前を挙げ、

「遺志を引き継いでいかなければならない」

 などと発言している。

 さらに、石原氏は岸田文雄首相とも親しいことで知られている。

 石原氏が衆院選で落選すると、岸田首相は観光立国担当の内閣官房参与に起用すると発表した。しかし直後に、石原氏が代表を務める政党支部が、新型コロナウイルス対策の助成金を受け取っていたことが発覚し問題化すると、すぐさま辞任したことは記憶に新しい。

 岸田首相は政務担当秘書官を「更迭」となった長男・翔太郎氏の問題をみてもわかるように、「身内」に甘いとの指摘は以前からあった。

「石原氏は、周囲に『岸田首相と話がついている』と吹聴し2025年の参院選では、丸川氏の後継だと触れて回っている。まだ2年も先の参院選で、丸川氏のくら替えは決まっているが、まだ参院議員のバッジをつけている立場ですよ。それに丸川氏の後継は東京都連が公募するはずです。しかし石原氏は『出馬は決まっている。これからは東京中をまわる』などと言っている。あきれるばかりです」

 そう話すのは、自民党の閣僚経験者だ。

 前出の田村氏は石原氏の参院選転出についてこう指摘する。

「石原氏はあたかも2025年というまだ先の参院選に出馬が決まったかのように記者会見をしている。石原氏の議員バッジへの執着はあ然とするばかりです。年齢的にも後進に道を譲ってやらないといけません。岸田首相もいくら親しいからといって、石原氏の発言を黙認しているようではよけいに批判が高まります。次の衆院選で自民党を脅かす維新は候補者を予備選で選ぶと言っています。ますます世襲は批判されかねないですが、自民党は気が付かない。石原氏くらいの実績であれば、参院議員なんてやらなくとも国に役立てることはいくらでもあるはずです」

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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