2021年の衆院選で落選した自民党の石原伸晃元幹事長が、次期衆院選では、これまでの地盤、東京8区からは出馬せず、参院選を目指すと記者会見で説明した。
「東京8区の選挙区は後進に譲ります。憲法改正などまだやらねばならないことがありますから参院選に出馬します」
と驚くような内容を話した石原氏。
東京8区では、8回連続当選、衆院10期、幹事長や閣僚歴任という自民党の重鎮でもある石原氏だが、前回の衆院選では立憲民主党の吉田晴美氏に3万票以上の差をつけられ惨敗し、比例復活当選もならなかった。
自民党の政務調査役として長く務めた政治評論家の田村重信さんは、石原氏の落選について、
「流行語に『親ガチャ』という言葉がありますが、石原氏はまさに親ガチャの典型、世襲議員です。自民党も選挙が楽だからと世襲を出馬させるが、彼らは地元の空気がなかなか読めない」
と強く批判していた。
石原氏を長く応援してきた、後援会幹部は、
「落選後も東京8区で出馬すると聞いていた。しかし、最近では活動もあまりせず、解散もそう遠くないうちにあるので、どうするのかと聞いてもハッキリとした返事もなかった。衆院選に負けた時から弱気な発言が続いていたので引退かと思っていたら、参院選とは……。知らなかったです。これまで親の威光で勝ってきたという印象が多々あるでしょう。『1回負けたくらいでしょんぼりするな』と言って励ましたが、やはり逆境には弱いなと感じていたところでした」
と不満げに話す。石原氏は「もう吉田氏には勝てそうもないか」「世襲は嫌われるのかな」などといった発言もしていたという。
石原氏が、参院選と言い始めた背景には、参院議員の丸川珠代氏が次期衆院選で東京7区の候補予定者に決定したことがあるとみられる。
丸川氏は参院の東京選挙区から当選3回、五輪相や環境相などを歴任し、前回、前々回の参院選では100万票を越す大量得票でトップ当選した。