議員事務所に配布された「新たまねぎ」。昨年は段ボール1箱分だったが、今年は3個に減らされていた
議員事務所に配布された「新たまねぎ」。昨年は段ボール1箱分だったが、今年は3個に減らされていた

■西村事務所は「どこの事務所もしていること」

 その理由を西村氏の事務所に質問したところ、秘書はこう答えた。

──今年も、淡路島産の新玉ねぎをお中元として各議員事務所に配ったそうですが、その狙いは?

「お中元ということで、季節のごあいさつです。どこの事務所でもしていることです。地元の明石市、淡路島のもので、みなさんに喜んでもらえるものというと、淡路島の玉たまねぎだと思うんです。みなさん、淡路島の玉ねぎをおいしいと言ってくださるものでね、喜んでくださるものをお中元として差し上げた方が良いと思いました。1個当たり、さほど高価なものでもありません」

──昨年は新玉ねぎを段ボール1箱分贈ったそうですが、今年は3個だけ。数が激減したのはなぜですか。

「昨年は確かに、箱に入ったもので1箱3キロくらいあったのかもしれません。でも、考えてみれば3個くらいでいいのかなと思い、今年は減らしました。当然、費用的にも安くなりますからね」

──どの政党の議員事務所に配ったのでしょうか。

自民党と公明党、日本維新の会などですね。立憲民主党や共産党の議員事務所には配っていません」

 新玉ねぎの購入費用は「政治活動費」として政治資金収支報告書に記載するという。

 これについて、神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。

「同僚の議員らに玉ねぎを贈ること自体が政治資金の私物化といえます。お金には色がついてないので、政党交付金を受け取っている政治家の場合は、事実上、税金で買った玉ねぎを同僚の議員らに配ったのと変わらない。玉ねぎを配ることは政治活動とは言えないので、本来だったら自分のポケットマネーから出さないといけないでしょう。政治資金の使い方について、政治的にも道義的にも問題があると思います。日本維新の会にも配るというのは、選挙に向けて何か駆け引きがあるのではと思われても仕方ありません」

 栄養満点の新玉ねぎが、政治家の“養分”にならないことを祈るばかりである。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【まとめ買いで最大19%OFF】いつもAmazonで買っている水やドリンクがもっとお得に!「飲料サマーセール」