田舎暮らしを始めたもう一つの理由が、トマト農家さんでいただいたトマトジュースが感動的なおいしさで、自分もトマトを栽培してみたいと思ったことです。その農家さんにビニールハウスを借りてトマトを一から育てています。
「大名倒産」やNHKの大河ドラマ「どうする家康(本多正信役で出演)」の撮影現場に、僕が作ったトマトジュースを差し入れで持っていくんですが、皆さんとても喜んでくれますよ。農作業はとても楽しくて、今回、前田監督からオファーをいただいたときも、「トマトの栽培はどうしよう?」って、一瞬頭をよぎったほどです(笑い)。
ほかにも釣りをしたり、ぼーっとして過ごしたりしています。家族や趣味に集中できて、リフレッシュできる今の生活スタイルはとても気に入っています。
子どもたちとは、一緒に農作業をしたり、虫を捕ったり、釣りをしたりしています。ただ、こうした生活は、あくまでも「僕がやりたいこと」ですから、子どもたちに強制したくはないという思いもあります。農作業のお手伝いをするよりも、他の習い事をしたほうが将来の役に立つかもしれません。子どもたちが大人になるころは、どんな時代になって、何が必要なのかもわかりません。
だから、僕は子どもたちを「雇う」ことにして、農作業のお手伝いには、“お給料”を払っています。お小遣い程度ではなく、同一労働同一賃金ですから、ちゃんと大人と同等の金額を払っています。自分で稼いで、好きなものを買ってますし、今のところ楽しく農作業を手伝ってくれているようです。
自分で育てた野菜や釣った魚を食べるのは、お店で買うよりもおいしく感じますし、他の人に「おいしい」と言って食べてもらえることは、お金とはまた別の価値となっているように感じます。
田舎暮らしを始めたことで視野が広くなり、多角的な視点を持って自分を俯瞰して見ることができるようになったと思います。さまざまな役を演じるために多くの人とコミュニケーションを取ることで、自分の世界が広がっていって、俳優業にもプラスになっている実感があります。