■発達障害との違いは?

 ギフテッドとよく混同されるものとして、発達障害がある。

「私たち大人は、講習会や研修会などで、知っていることばかりの内容だったらどのような行動をとりますか?」

 そう角谷教授に尋ねられた。居眠りする、携帯をいじる、会場を出る、内職をする。大人でも様々な行動をとるだろう。ギフテッドも授業でわかりきった内容ばかりが展開されたら……。どうやったら、退屈な時間をやり過ごせるのか。そんな気持ちを想像した。

 授業中に立ち歩いたり、集中しなかったりする様が、発達障害があると誤認される場合があるのだという。どのような違いがあるのだろうか。

 角谷教授によると、障害の場合は、脳の機能障害が問題とされる行動を引き起こす原因となる。ギフテッドの場合、限られた状況や場面でそうした行動に出ることがある。例えば自身に興味のない授業では集中せずに、ぼーっとしているように見えるが、関心のある授業では積極的に挙手をするといったことが考えられる。

 また、不適切とされる言動について本人なりに筋の通った説明ができるか、本人の意図が背後にあるかが、障害を伴うものかどうかの判断のポイントになるという。

 ギフテッドの単語が認知されるようになった現在でも、ギフテッドの特性というものはまだまだ知られていないのが現状だろう。私自身も取材を始めるまでは、「頭が良い」という一面的な部分しかわからず、ほとんどその特性を理解していなかった。ギフテッドの行動が理解できずに悩む人もいるかもしれない。

「ギフテッドの、一見、才能とは関係のなさそうに見える特性と知的才能との関係を知っていただきたいです。人の揚げ足をとろうとしている、ミスを探していると受け取られがちかもしれませんが、自分のほうが知っていると優劣をつけたくて言っているのではないのです。情報を知ったり共有したりするのが楽しくて、純粋な興味関心からの言動なのです。周囲がそうした特性を知り、行動を認めてあげることが重要です」

●阿部朋美(あべ・ともみ)
1984年生まれ。埼玉県出身。2007年、朝日新聞社に入社。記者として長崎、静岡の両総局を経て、西部報道センター、東京社会部で事件や教育などを取材。連載では「子どもへの性暴力」や、不登校の子どもたちを取材した「学校に行けないコロナ休校の爪痕」などを担当。2022年からマーケティング戦略本部のディレクター。

●伊藤和行(いとう・かずゆき)
1982年生まれ。名古屋市出身。2006年、朝日新聞社に入社。福岡や東京で事件や教育、沖縄で基地や人権の問題を取材してきた。朝日新聞デジタルの連載「『男性を生きづらい』を考える」「基地はなぜ動かないのか 沖縄復帰50年」なども担当した。

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