都内ではほかにも多くの店が被害にあっている。
「秋葉原では昨年末、複数のカード店でポケモンカードなどが盗まれる被害にあっています。町田市にある店舗では12月上旬に、850万円相当の被害がありました。深夜に店舗に侵入し、ショーケースを割るなどの手口でした」(捜査関係者)
都内以外でも全国でポケモンカードが盗まれる被害は出ている。ポケモンカードが、これほど狙われているのはなぜなのか。
●1枚1千万円超えも 買うだけで“爆アド”のポケモンカード
元半グレ組織で強盗などの指示をしていたという男がこう話す。
「ポケモンカードは今後狙われやすいのでは。高級時計とかと違って、シリアル番号がないし、盗んで転売してもバレにくい。あと小さくて運びやすい。その割には価格が高騰している」
ポケモンカードのもともとの価格は5枚で200円ほど。それが収集や取引を目的としたトレーディングカードとして売買が過熱し、その価格が近年、高騰している。
都内でトレカの販売やオークションを運営する会社の担当者はこう語る。
「資産形成の手段としていま、ポケモンカードが注目されています。1年で15倍の価値がつくカードもありますね。1枚で1千万円超えのカードもぞくぞくと増えています。背景にはメルカリなどのフリマアプリの普及で、個人で売買しやすくなったのが一つに挙げられます。正直なところ、新しいポケモンカードが出るたびに買ってすぐに売るだけで、利益を得ることができるケースもあります」
6月16日、この日は新しいポケモンカードが発売され、都内の家電量販店では早朝にもかかわらず、多くの客が行列を作っていた。
「買うだけで“爆アド”です」
この行列に並んだ20代の男性がそう語る。
「爆アド」とは、トレーディングカード業界周辺で使われる言葉で、「爆裂的なアドバンテージ」の略。メリットが大いにあることを意味する。
「ただ、最近は店で転売対策を行っているところも増えてきています。箱ごと買う際には、外装のビニールをその場で取られたりと、未開封状態のままでは買えなくなってきています」