ご成婚パレードで、満面の笑みで沿道に手をふるお2人
ご成婚パレードで、満面の笑みで沿道に手をふるお2人

「29歳半までの前半にも、また、皇室に入りましてからの後半にも、本当に様々なことがあり、たくさんの喜びの時とともに、ときには悲しみの時も経ながら歩んできたことを感じます」

「悲しみの時」という言葉に、心が打たれた。病を得て、ますます国民への「感謝」を語るようになった雅子さまが、自分の弱い部分を見せた。皇后として国民に受け入れられているという実感を得たことで、国民への信頼感が増した。その証しではないかと感じたのだ。

 だから、感情が抑えられた結婚30年の「ご感想」に一抹の寂しさを感じてしまったのだが、同時に当然だとも思っている。そもそも誕生日に発表される文書は雅子さまのものだが、結婚30年の文書は陛下とお二人のものなのだ。加えて「皇太子と皇太子妃」だった結婚25年までとは違い、今回は「天皇と皇后」だ。地位の重さが、お二人をより抑制的にしたことは容易に想像がつく。そのことはわかったうえでなお、30年の文書から雅子さまの30年が平坦でなかったことを思った。同じ日に発表された閣議決定が重なり、その感情はいや増した。

 天皇、皇后両陛下のインドネシア公式訪問(6月17~23日)が閣議で決まったのだ。そのことを報じるニュースは、国際親善のための外国訪問は令和になって初めてで、雅子さまにとっては2002年以来となると伝えていた。そうか、昨年のエリザベス女王の国葬参列は儀式への出席で、もろもろ合わせて国際親善のための外国訪問は21年間もなかったのか。改めて知った。

 21年前の訪問先は、ニュージーランドとオーストラリアだった。出発の6日前にあたる12月5日、お二人は記者会見を開いている。中東訪問以来約8年ぶりのお二人外国親善訪問だということで、それについての感想が問われた。雅子さまは中東訪問の話を少しして、それから8年を語った。直近の2年間は妊娠、出産、子育ての時期だったが、として、それ以前をこう振り返った。

「6年間の間、外国訪問をすることがなかなか難しいという状況は、正直申しまして私自身その状況に適応することになかなか大きな努力が要ったということがございます」

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