日中、気がつかないうちに歯をくいしばっていたり、眠っているときの歯ぎしりで歯がぎりぎりとゆすぶられたりすることで、歯根膜炎が発症し、歯が痛むこともあります。歯根膜は歯の根(歯根)の表面と、根が埋まっている歯槽骨(しそうこつ)の間を結びつけている薄い線維性の膜で、食べ物などをかむときに歯にかかる力を吸収、緩和するクッションの働きをしています。歯を常にかんでいると歯根膜に過度に負担がかかり、炎症を起こすのです。
親知らずが原因の場合もあります。親知らずが横になってはえてくると、歯と歯ぐきの間に深いポケット(歯肉溝)が形成され、そこに細菌などが入り込んで炎症が起こることがあります。これは20歳前後の若い人に多くみられます。
さて、我慢ができないほど歯が痛んだら、迷わず、休日診療をしている歯科医院にかかることをおすすめします。遠慮する必要はありません。都市部では日曜や祝日に診療をおこなう歯科医院もあるので、まずはネットなどで調べてみましょう。
また、現在、ほとんどの地域では地域の歯科医師会により、順番を決めて歯科医師が交代で診療を担当する「輪番制」による休日診療がおこなわれています。
その日、担当になった歯科医師が自分の歯科医院を開けて診療をおこなう場合と、歯科医師会や自治体が運営する診療所に担当の歯科医師が出向き、診療をおこなう場合があります。
私が所属する東京都渋谷区歯科医師会では、両方のスタイルで休日診療をおこなっています。担当の歯科医師が出向く施設は、「渋谷区口腔保健支援センター プラザ歯科診療所」というところです。
私も過去にこのセンターで休日診療を複数回、担当したことがありますが、やはり、痛みを中心に少なくない数の患者さんがいらっしゃいました。「痛くて耐えられません。なんとかしてください」という患者さんを見て、「病院のER(救急外来)はこんな感じなのだろうか」と思ったものです。