就学前や学校での歯科検診でもこれらの異常は把握しにくく、いずれもパノラマX線撮影をおこなわないと状態がわからないといいます。

 では、自分の子どもに矯正歯科治療が必要かどうか、保護者はどのようにして気づいてあげればいいでしょうか。

「最初に、見てわかりやすい不正咬合の有無をチェックしましょう。とくに両親になんらかの不正咬合がある場合は要注意です。あごや顔面の骨格・歯は遺伝するからです。また、永久歯の萌出が遅いなどと指摘されたら、パノラマX線撮影で調べてもらうことをおすすめします。歯科矯正に関する検査・治療は健康保険の適用がありませんが、パノラマX線撮影は7000円程度で受けられます」(野村歯科医師)

「歯科矯正には、治療のタイミングが重要」と両歯科医師ともに口をそろえます。

 歯並びが悪いことは自然に治癒することはないため、放置するのは好ましくありません。しかしケースによっては、乳歯が残っている、あまりに早い時期に治療を開始すると治療期間が長くなってしまう場合もあります。また、永久歯が生えていない乳歯だけのタイミングでは、多くの場合、矯正歯科治療は必要ありません。たとえば乳歯の反対咬合では、約3~5割が自然に治るといわれています。この場合は早期に矯正歯科治療をおこなう必要はないことになります。

「まず、矯正歯科治療が必要かどうかを慎重に判断し、すぐに治療が必要かどうかを見極めます。開始時期まで数年、経過観察をおこなうことも少なくありません。最適のタイミングで適切な治療を開始することで、短期間で最大の効果を引き出すことができるからです」(三村歯科医師)

■矯正歯科治療を専門とする歯科医師を受診する

 一般的な固定式の装置を付けておこなう矯正歯科治療は通常、2年前後にわたり、その間は矯正装置を装着し、月に1回の通院と念入りな口腔(こうくう)ケアなどが必要になります。そのため、子どもの負担を考慮しなければなりません。また、矯正歯科治療は通常、健康保険のきかない自費診療で、保護者の経済的・時間的負担もあります。できるだけ短い期間で済ませるためにも、疑わしい症状があれば、「矯正歯科」を受診しましょう。

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