※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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歯の矯正治療と聞くと、高校生から20代ぐらいが受けるというイメージを抱く人もいるかもしれませんが、もともとは子どもの歯並びを矯正する目的でスタートしたものです。e-Stat(政府統計の総合窓口)の「令和2年患者調査 全国編 報告書」によると、1日当たりの矯正歯科治療の受診者数は14歳までが1万6500人、15~34歳が1万2900人で、15歳未満のほうが多いことがわかります。

【図表】矯正歯科治療をすべき? 歯並びの異常の種類はこちら

 なぜ小さなころから歯の矯正を始めるのでしょうか。そしてどのような場合に矯正歯科治療が必要になるのでしょうか。矯正歯科治療を専門とする歯科医師に話を聞きました。この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「子どもの矯正歯科治療」全3回の1回目です。

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「子どもの矯正歯科治療」は、おおよそ乳歯が抜けて永久歯に生え変わるまでの6歳前後から12歳前後におこなう場合を指します。子どもの歯科矯正が、それ以降の年代と大きく異なる点は、乳歯と永久歯が共存して生えている「混合歯列」であるということです。

そもそも矯正歯科治療の目的は、「歯並びの異常」を改善することによって、歯磨きをしやすくしてむし歯や歯周病のリスクを減らし、自分の歯を生涯維持することです。また、滑舌をよくすることや、見た目の印象をよくする審美的な意味合いもあります。

■子どものときに矯正歯科治療を受けるメリットは?

 では、乳歯から永久歯へ生え変わる最中の、状態が安定しない時期に、歯科矯正をしても大丈夫なのでしょうか。日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医でみむら矯正歯科院長の三村博歯科医師は、子どもの矯正歯科治療の意義を次のように説明します。

「歯並びの異常の多くは、大人になってからでも矯正歯科治療によって改善できます。しかし代謝が盛んで歯が動きやすく、歯やあごの成長を利用して矯正治療ができる子どもの時期に開始することで、より効果的に、重い症状に移行せずに済むケースは多くみられます。何よりも重要なこととして、あごや顔面の骨格にも原因があるケースでは、骨格が成長途中の子どもの時期に治療を開始するほうが完治できるということがあります」

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口の中を見ただけでは発見しづらい異常もある