イマチニブ以降の薬剤は、2番目にスニチニブ、3番目にレゴラフェニブ、さらに4番目の薬剤として2022年6月にピミテスピブが承認された。
「これらの薬は効果の持続期間が数カ月から8カ月程度と短く、4番目のピミテスピブの効果がなくなると、そのあとの手立てがありません。海外には効果が認められている別の薬剤もあり、日本での承認をめざしてさまざまな努力を試みています」(内藤医師)
GISTを発生させる細胞の遺伝子変異を起こす原因や生活習慣との関わりは、まだわかっていない。そのため明確な予防方法もないのが実情だ。患者も少なく、健診などで粘膜下腫瘍として発見されても、確定診断のための生検や治療の経験があまりない医療機関や医師も多い。
「健診や人間ドックなどで粘膜下腫瘍が見つかった場合、生検の前にGISTの専門医やGISTを扱っているがん専門病院に相談していただくのがよいと思います。また薬物治療では使われる薬剤の種類は胃がんや大腸がんよりも少ないですが、副作用のコントロールなどが難しい場合もあるため豊富な経験が必要です。こちらも腫瘍内科がある病院の受診をお勧めします」(黒川医師)
GISTはがんの一種であり、治療が遅れれば命に関わる。もし粘膜下腫瘍が発見されGISTが疑われたら、GISTの専門医がいる病院、GIST研究会、患者の会などが発信している正しい情報にアクセスし、早い段階で適切な治療を受けることが重要である。
(文・梶 葉子)
※週刊朝日2023年6月9日号より