日本人のソウルフードとも言われる「おにぎり」。コンビニでは相次いで新商品が発売され、お米の魅力を再認識する人も多い。だがその裏では、さらなる進化を目指すサバイバルが繰り広げられている。
ローソンでは4月、コンビニ業界初の「立体成形方式」という4方向から均等に成形する成形機を導入し、「手作りのふっくら感」を追求したおにぎりの販売を始めた。ファミリーマートでは、200円を超える高価格帯のおにぎりが好調だ。
そんな中、注目されているのがセブン‐イレブン・ジャパンの「こだわりおむすび」。230年以上続く京都の老舗米問屋「京の米老舗 八代目儀兵衛(ルビ:はちだいめぎへえ)」監修のもと、共同開発したことで話題となっている。
「えっ、ブレンド米!?」
セブン‐イレブン・ジャパンの商品本部 米飯・麺類シニアマーチャンダイザー(SMD)の赤松稔也(ルビ:としや)さんは、新作おにぎりに「ブレンド米」を使うと聞いた時の驚きをこう振り返る。
一般的に、ブレンドしたお米は、味が落ちるとして一段下に見られやすい。コンビニ業界でも、新潟県産こしひかり、北海道産ゆめぴりかなど、「銘柄米」を使ったおにぎりが主流だった。
そんなセブン‐イレブンがなぜ、八代目儀兵衛とタッグを組むことになったのか。
時計の針は約2年前に戻る。
新型コロナ禍でテレワークや巣ごもり生活が進み、人の移動の途中に利用されることの多いセブン‐イレブンにおいて、おにぎりの売上は激減し、前年を下回る状態が続いた。自宅でおいしいご飯を炊いて食べる人が多くなり、セブン‐イレブンのおにぎりに対する価値感の変化に危機感を覚えたセブン‐イレブンは、様々な取り組みを行う中で、外部からアドバイスをもらい視野を広げようと考えた。
セブン‐イレブンの赤松さんは、自戒を込めて言う。
「私たちは日々おにぎりを進化させてきましたが、自分たちの考えに凝り固まっていたのではないか、自己満足になっていたのではないかと思いました」
おにぎりをさらに美味しくするために、様々な人の知見を幅広く取り入れていこうと考えたという。