けがをした少年僧が治療を受ける(シットウェ郊外の寺院)
けがをした少年僧が治療を受ける(シットウェ郊外の寺院)
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 超大型のサイクロン「モカ」が5月14日に上陸したミャンマー南西部のラカイン州で、多くの被害が出ている。特に少数派イスラム教徒の「ロヒンギャ」の難民キャンプで多くの犠牲者が出ているようだが、情報が錯綜している。民主派勢力と国軍との戦闘が続くなど複雑な政治状況にあるため、支援にも大きな「壁」があるようだ。日本にいる関係者も不安を隠せない様子だ。

【写真】サイクロン「モカ」に襲われ、倒壊した住居

 雨より猛烈な風が吹き荒れ、多くの家の屋根が飛び、村によってはほとんどの家が倒壊した。幸い潮位が低い時期だったため高潮の被害は少なかったが、ミャンマーの国軍は17日、州都のシットウェ(旧名・ミャウー)で20人超が死亡したと伝えたとされる一方、ラカイン州内でロヒンギャが500人以上死亡したと報じる現地メディアもあるようだ。

 日本でも、このエリアからやってきた少数民族のラカイン人が500人以上暮らしている。彼らは必至に連絡を取ろうとしているが、なかなかつながらない状態が続いている。シットウェでは通信機械を積んだ車が市内を巡回しはじめ、ときどき回線がつながる状態だという。

サイクロン「モカ」に襲われ、多くの家が倒壊。住民はアラカン軍によって寺などに非難した(シットウェ)
サイクロン「モカ」に襲われ、多くの家が倒壊。住民はアラカン軍によって寺などに非難した(シットウェ)

 東京で働いている男性、Nさん(45)は、シットウェからバングラデシュ国境のマウンドーへ向かう途中の町、ラッティードン出身だ。家族らが心配で連絡したが、現地と電話がつながるのはたまにだという。

「鉄筋コンクリートの建物以外の家はほぼ倒壊しました。皆、寺などに避難して、私の両親や親戚は無事でした。ただ13人が犠牲になったようです」

ほどんどの家が倒壊したラッティードン
ほどんどの家が倒壊したラッティードン

 被災者への支援は遅れている。ミャンマーは2年前、クーデターで実権を握った国軍と民主派勢力の間で激しい戦闘が続いているからだ。

 ラカイン州も、国軍と、州の軍隊・アラカン軍の衝突が絶えない。現在、両軍は休戦状態だが、一触即発の状況だ。国軍は主要の町の中心部を抑えているが、郊外に出るとアラカン軍の支配エリアになる。州都シットウェも、中心から30キロの地点でアラカン軍が対峙している。

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