凍結した卵子や受精卵は、妊娠したい時期がくるまで病院で保管される。

■採卵、移植には年齢制限がある場合も

 卵子凍結後に妊娠できる確率は採卵時の年齢によって大きく変わり、早めに卵子凍結すれば、卵子の質が良いため妊娠の確率も上がる。坂口医師によると、卵子凍結による一般的な妊娠率は以下の通りだ。

 採卵できる条件は、クリニックによって多少異なる。三軒茶屋ARTレディースクリニックでの条件は年齢のみ。採卵は39歳まで、子宮への受精卵移植は45歳までとしている。その理由は、「母体の年齢が上がるほど、さまざまな妊娠合併症を起こす確率が上がってしまうため」だという。

 費用についても各クリニックによって異なり、採卵から凍結までの費用は20万~40万円(採血検査料、注射代や服薬代は別)が相場となっている。また、採卵できた卵子の数によって金額が変わるクリニックもあれば、採卵する回数で金額が決まるクリニックもあり、料金設定もさまざま。

「基本的に卵子凍結までの費用はどの病院もそれほど変わりませんが、凍結する卵子の個数が多いほど費用が高額になります。また、保管料は病院ごとにバラつきがあります。月額なのか年単位なのかも、事前に確認する必要があるでしょう」

 さらに、卵子凍結後にかかる費用も忘れてはならないと坂口医師は続ける。結婚あるいは事実婚をしてパートナーの子どもを妊娠したい時期がきたら、凍結した卵子を融解し、顕微授精(顕微鏡下で卵子に直接精子を注入して受精させ、子宮に戻す方法)を行う。この金額が20万~30万円ほどかかるという。

※費用の一例はこちら(下記は2023年5月時点の情報。価格改定の可能性あり) https://sancha-art.com/%E8%B2%BB%E7%94%A8

■卵子凍結をきっかけに自分の体とライフプランと向き合って

 今まで知らなかった条件や費用などがクリアになり、卵子凍結を検討する人もいるだろう。実際に、卵子凍結補助を福利厚生に導入する企業も増え、それを活用する女性もいる。

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卵子凍結は一種の保険のようなもの