ライフプランやキャリア形成の選択肢が広がりつつあることは確かだが、坂口医師は「卵子凍結は一種の保険のようなもの。利用できるならなるべく早いほうがいいですし、仮に凍結卵子で妊娠できなかった場合は、すぐに別の治療に切り替えなければなりません」と注意喚起する。

 それと同時に、卵子凍結を検討することで自分の体とライフプランに向き合ってほしいと話す。

「日本の性教育ではあまり詳しくは教えないので、35歳を過ぎたら卵子の質が低下することを知らない人が多くいらっしゃいます。男性の精子も加齢により老化するのですが、知らない人がほとんどです。卵子凍結は女性だけの問題だと思わずに、自身の体の仕組みや状態を知り、将来結婚するのか、子どもを持つのかなどのライフプランを考えるきっかけにしてほしいですね」

(文/安倍季実子)