彼らが手にするカードが、今回のツアーグッズの「Snow Manトランプ」に酷似しているのも、くすりとさせるポイント。ファンが何を求めているかを知り尽くした演出の数々に、本人たちがまだ登場さえしていないというのに、会場の興奮は止まらない。
そして暗転したドームに流れたのは、デビュー曲「D.D.」。大歓声に包まれるなか、大きなゴンドラに乗ったSnow Manにスポットライトが当たった。メンバーカラーのファーがついたド派手な分厚いコートに身を包み、55000人の観客を感極まった表情で見渡しながら歌う9人を乗せ、ゴンドラは天井付近からゆっくりとメインステージへと降りていく。
そこから始まった2時間40分、全35曲の構成については、本誌記事でも触れているが、あまりの競争率の高さに、今回初めてライブに参加できるファンも少なくないことに配慮したであろうものだった。
深澤と阿部が中心になり、メンバー全員がアイデアを出しあったという演出も、公演前のインタビューで「どうやったら上の人がストレスなく見られるか」「とにかくなるべく近くに行きたいなっていうのは、みんな言ってますね」と渡辺が語っていた通り、大きなドームを埋め尽くす5万5000人のファンをいかに楽しませるか、考えつくしたものに感じられた。
「D.D.」で通常はラウールが行う人差し指を唇の前に立てるポーズ、通称「コココ」は9人全員分を順番に見られるし、人気曲「君の彼氏になりたい。」ではそれぞれの決め台詞が聞ける。阿部が作詞したメンバー紹介曲「Nine Snow Flash」をはじめ一緒にコールをしたり歌って踊れる曲の充実、「POWEEEEER」での日替わりソロダンスタイム、9台のフロート(トロッコ)から繰り出される高さ10.7mで上部客席に迫るリフト、外周を何度もまわりながらのファンサービス、客席に放たれるサインボールに花束…「9人となるとこれは無理だな、みたいな問題もある」(渡辺)なか、ありったけの思いを詰め込んだ印象だ。
それは、本編最後に、それぞれのメンバーカラー一色に染まるなかでの挨拶にも表れていた。
深澤 9人でステージ立って、本当にみなさんとともにこうやって楽しめたことが、本当にうれしいです。こんな時間をまた9人でできたらうれしいなと思います。本日はどうもありがとうございました。