そんなときに知ったのが、家庭力アッププロジェクト®でした。プロジェクトの話を聞くうちに、「これなら自分にもできるかも」と思って参加を決意します。
彼女が「家を片づける」と宣言したとき、息子の口から驚愕のひと言が飛び出しました。
「え?この家のどこが汚いの?」
当時高校2年生の息子にとって、家というのはモノでいっぱいの場所。その感覚の通り、自分の部屋もモノが散乱していて、ベッドの上以外は居場所がない状態です。
「この言葉を聞いて、ビックリ!私がこんな子に育ててしまったんだ、とショックでしたね。このままの状態で一人暮らしをさせたら生きていけないかもと思いました」
家族ときれいな家で暮らすために、彼女はとにかくモノを手放しました。さらに、プロジェクトの中で「いる・いらない」の判断基準を学び、モノを家の中に入れるところから見直すと、衝動買いが激減。家の中のモノの量がグッと減りました。
「1つの収納場所に1つのモノだけが入っているって、すごく楽ですね。全部のモノを把握できているので、探し物がなくなりました」
娘と夫は、もともと片づけが得意なタイプ。所有物は多いけれど、以前からモノを使ったらきちんと戻していました。家の中がきれいになってくると、娘も「ちゃんと片づける」と言い出して使ってないモノを手放し、自分の部屋をスッキリと片づけました。
「私はいつも家族に対して過干渉ですが、娘の片づけは彼女にまかせました。一度娘の片づけに口出ししたら、『私はちゃんと考えているから』って言われてしまって。もう中学2年生でしたし、1人でやりたいんだなって思って」
息子は反抗期がひどく、中学3年生のときはろくに話もしませんでした。高校生になってから少し話をするようになったものの、家にいるときは自分の部屋に閉じこもってばかり。でも、片づけが進むとリビングで勉強をするようになり、会話も増えていったのです。
「少しずついろんな話をするようになって、自分の悩みも話してくれました。そんなことまで話してくれるようになるなんて、うれしかったですね。そこから自分の部屋の片づけについても話し合うようになって……」