助けを必要としている人の大半がその入り口にたどり着けずにいる。その原因の一端は、社会が当事者に向ける偏見や差別の目にあると私は思います。

「この状況を変えたいが、容易ではない」。回復の希望を教えない学校での薬物乱用防止教育の問題点にもふれて、松本さんは難しさを打ち明けます。

 セルフスティグマを当事者の責に帰すことはできません。変わるべきは当事者ではなく、当事者を追い詰めている社会の側です。

 誰もが「助けて」と言える社会にするには、社会にある偏見を地道になくしていくしかありません。それはジャーナリズムの重要な役割の一つです。私は宿題をもらった思いで収録のスタジオを後にしました。

※記者サロン「『妻はサバイバー』の記者、精神科医・松本俊彦さんと語る」は5月31日(水)まで配信中(申込締切5月31日20時)。
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