2020年に東京オリンピックの開催も決まり、着々と準備が進む中、今秋にはメインスタジアムとなる新国立競技場の建て替えも始まるよう。今後、どのように東京の街が様変わりするのか、とても楽しみですね。
さて、オリンピックは4年に一度の世界的イベントですが、多くの日本人が「オリンピックが開催される年は閏年(うるうどし)」と思っているようなのです。
実は閏年ではない年にも、オリンピックは開催されているのです。
そこには、あまり知られていない「閏年の法則」が関係していました。

月と太陽の運行周期から導き出された「閏年」には、いにしえの天体学者、数学者の高度な知恵が結集されているのです
月と太陽の運行周期から導き出された「閏年」には、いにしえの天体学者、数学者の高度な知恵が結集されているのです

そもそも閏年って何?

4年に一度やってくる閏年。そう、2月29日がある年が閏年なのはご存じですよね。前回の閏年は、ロンドンオリンピックが開催された2012年でした。
では、なぜ閏年があるのでしょうか。そこには地球の公転と大きな関係があるのです。
地球は1年をかけて太陽のまわりを一回りします。これを“公転”といいます。
カレンダー上では、1年(365日)をかけて地球は公転している計算になりますが、実際には、365.2422日をかけて太陽のまわりを一周します。
つまり1年に「0.2422」、4年で「0.9688」の誤差が生まれることになります。
そこで、公転周期と暦の誤差を合わせるために考え出されたのが閏年なのです。

誤差を修正するために生まれた法則

多くの人がそうですが、西暦を4で割って、割り切れる年が閏年と覚えていますよね。
基本的にはそれでよいのですが、先述したように4年に1日増やせば、すっきりプラスマイナスゼロになるわけではなく、微妙な誤差は残ってしまいます。その誤差を修正するため、次のような法則が設けられました。
〈法則1〉西暦を4で割って、割り切れる年が閏年
〈法則2〉閏年でも、100で割り切れる場合は閏年としない
〈法則3〉法則2の場合でも、400で割り切れる場合は例外として閏年
少しややこしいですが、古代ローマで採用されたユリウス暦では4年に1回の閏年、16世紀に制定されたグレゴリオ暦では400年に97回の閏年……と、月と太陽の運行周期を考慮した末に導き出された「閏年」には、いにしえの天体学者、数学者の高度な知恵が結集されているといえます。
余談ではありますが、現行の計算のままでは「4882年に1日分」の誤差が出じることがわかっているため、遙か未来には「2月30日」という日が誕生する可能性も! それがいつかはわかりませんが、そのときは過去に起きた「2000年問題」のように、コンピュータ上の誤差によって社会が混乱しないことを祈るばかりです。

2100年のオリンピックは平年に開催⁉

話をオリンピックに戻しましょう。
オリンピックが閏年に行われるようになった発端は、第1回アテネ大会が1896年に行われたことに所以します。1896年は閏年だったこともあり、その後、閏年とオリンピックは重なり合って開催されていくことになります。
では、なぜオリンピックが4年に一度行われるのでしょう。これには諸説ありますが、古代ギリシア人が太陽暦と太陰暦を使っていた説が有力のようです。
つまり、太陽暦の8年が太陰暦の8年3カ月にあたるため、8年という周期が重要な意味をもち、8年ごとに開かれる祭典が慣例に……。そして長い年月を経て、8年の半分の4年周期にオリンピックの祭典が開かれるようになりました。

パリオリンピックが開催された1900年は閏年?

先述した「閏年の法則」に当てはめるとわかるのですが、1900年のパリ大会が開催された年は、閏年ではなく平年でした。なぜなら、〈法則2〉の100で割り切れる年だったからです。
それでは、2000年に開催されたシドニーオリンピックも100で割り切れるので平年と言いたいところですが、400で割り切れる〈法則3〉が適用される年のため、閏年となります。ずいぶん先の話になってしまいますが、この法則に当てはめると、85年後の2100年は、閏年ではなく平年に。
ひょっとしたら、2100年は「閏年の法則」の話題で盛り上がっているかもしれません。85年後のオリンピックは、どこの国でどんな競技が開催されているのでしょう。
きっと、現代とはまた違った感動物語が誕生しているかもしれませんね。