組み入れの上位10銘柄はアップルやマイクロソフトなどの米国企業が独占しており、米国株比率がことさら低いわけではない。11位以下には日本や中国の強い株も入っている。
世界中に投資するので、米国以上に成長するかもしれない国を取りこぼす心配がない。
ところで「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」とは別に、日本株を除外した「除く日本」も販売されている。どちらがいいのだろう。
「オール・カントリーの日本株の組み入れ比率は5.4%。米国株の56.9%の次に高い比率です。日本人は自国(日本)に対する見方が厳しいのか、『除く日本』を選ぶ人も多いようですね」
塚本さんは、日本株にそこまで悲観的ではない。
「日本株は全世界株式で『2位』につけています。その存在感に大きな変化はないでしょう。
米国は、日本にモノづくりで負けて未来が全く見えなかった1980年代からIT産業が勃興して、見事に復活しました。
今の日本が今後もダメだと過度に悲観する必要はないと思います。日本株も含む『オール・カントリー』に投資したほうが素直ではないでしょうか」
ただ、日本株を既に多く持っている人、円預金が多い人は「除く日本」を選んでもいい。
塚本さんが考える、長期投資に適したインデックス型投信の条件は「信託報酬(年率、税込み)が0.3%以下、純資産総額が100億円以上で、できるだけシンプルに運用しているもの」だ。
1位、2位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「同(除く日本)」が指標にしているのは、MSCI社が算出する「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という指数。
先進国23カ国、新興国24カ国の時価総額上位2882銘柄が組み入れられており、大型株と中型株が主体だ。
「eMAXIS Slim」シリーズを運用する三菱UFJ国際投信では、この指数に組み入れられた銘柄をマザーファンドが直接購入する形で、指数に連動した運用成果を目指している。
3~5位の「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」が連動を目指す指数は「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」。
こちらは25の先進国、24の新興国の時価総額上位9508銘柄(2023年3月末現在)が組み入れられている。ACWIに比べて銘柄数が多く、小型株まで網羅している。