■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
大好きなパパと一緒の11歳の夏の日々の幸せ。年月が過ぎて、自分があのときの父と同じ年齢になって見えてきた彼が背負っていた翳り。私は何もわかっていなかった。でも幸せだったことは確か。それでいいんじゃない?
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
20年前のビデオテープを見直すことで、そこから記憶を塗り替えるような物語が浮かび上がってくる。大人になり、責任を背負うことで初めて見えてくる父親との関係を、緻密な構成、繊細な演技で描き出す鮮烈なデビュー作。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
父と娘の距離感。自分が父と旅した日々にタイムスリップ。楽しいバカンスだけどずっと胸に突っかかるものがある。一瞬の喜び、そしてその後の照れ臭さ。感情が揺れ動く。でもこんな時間はいつまでも愛おしくて素敵。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
近年で特に傑出した映画だ。英語圏の映画というより東欧やロシアの映画を思わせる繊細な描写が、観る側に皮膚感覚で子供時代を思い出させて秀逸。段々とわかる父親の気持ちと音楽の使い方が強く心に残り続ける。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2023年6月2日号