疲れてくるころに上智大学を過ぎて四ツ谷駅、ここで電車に乗る誘惑にかられるも、あと少しだと心を奮い立たせて四谷三丁目。あえて新宿二丁目のど真ん中を突っ切って、世界堂でボールペンの替え芯とお礼状用のハガキを購入。紀伊國屋書店の1階で立ち読みしたら、JR新宿駅の信州そば本陣で天ぷらそばをたぐって、時間オーバー。ここらでいいか……と中央線に乗って中野駅、そのまま独演会に向かうのだった。
その日は2万8千歩くらい。どうだ、なかなかだろう。でもそんなに歩くとかえって身体に良くないらしい。どうしろって言うんだよ。オレは歩くのが好きなんだ。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2023年5月26日号