――キーワードなどを入力すると、瞬時に無数の短歌を生成する「短歌AI」を朝日新聞社が開発しました。短歌にもAIの影が……。
私はAIに名歌を作ってもらう必要はないと思っています。短歌の種は、その人の心の揺れだからです。一方で、実際に使ってみると「短歌AI」は創作の手助けの一つになると思いました。AIが作った歌を眺めていると、これいいなとか、これはちょっとダメだなとか、こういう飛躍の仕方もあるかとか、自分の心のモヤッとした部分に、だんだん輪郭を与えられるような感じがありました。上の句を入れたら一瞬で100首くらい出してくるので嫌になってしまいますが(笑)、開発した方に聞いたら、一瞬で100首くらい作ることができるけど、AIにはどれが良いとか良くないとかっていう判断はまだできないんですって。それを聞いてちょっと安心しました(笑)。
――今回のブームはどう広がってほしいですか。
短歌は1300年この国にあるものです。なので、いまのような大きな波が来たときに一人でも多くの人が、自分の表現手段として、自分のものにしてくれたらうれしいなぁと思います。
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たわら・まち 1962年、大阪府生まれ。早稲田大学在学時に、歌人の佐佐木幸綱氏の影響で短歌を始める。歌集に『サラダ記念日』、『プーさんの鼻』、『未来のサイズ』など。2022年、朝日賞受賞。
※週刊朝日 2023年5月19日号