■小沢も「セカオザ」でブレークしたが
若くしてスターダムにのし上がったスピードワゴン。お茶の間からの認知度は高くても、漫才コンビとして“結果”を残せずにいるのはいったいなぜなのか。数多くのバラエティー番組を制作するディレクターはこう分析する。
「バラエティーの現場において、井戸田さんは平場におけるツッコミの技術が高く、コメントもうまい。バイクや美容に造詣も深く、個人のYouTube『ハンバーグ師匠チャンネル』は登録者数43万人と人気のチャンネルです。一方、小沢さんのボケやコメントは正直わかりづらい部分があります。2015年前後にその奇行が『アメトーーク!』でクローズアップされ、“SEKAI NO OZAWA”(通称・セカオザ)として人気を博すようになりましたが、芸人としての瞬間最大風速が吹いたあのときに人気を確立しておくべきだった。そのときは、たっぷりの“間”でクサいコメントを放つネタがバラエティーでも重宝されましたが、今はほとんどの人が覚えていない。小沢さんは今でもマイペースにそのネタをやりますが、結果的に変な空気になってしまっています。さらに小沢さんは『テレビをまったく見ない』と言っていますが、売れている人ほどテレビを見て研究しています。コンビとして再ブレークを狙うなら、そのあたりを変えていかないといけないと思います」
お笑い評論家のラリー遠田氏はスピードワゴンの今後についてこう述べる。
「スピードワゴンのお二人の魅力は、良くも悪くもガツガツしていないところだと思います。井戸田さんはバラエティー番組では明るいキャラを見せていますが、他人を押しのけてまで前に出ようとするような強引さはありません。一方の小沢さんは、言わずと知れた控えめな性格で、ブレークのきっかけになったM-1にすら、当初は出たくないと言っていたほどです。しかし、小沢さんのマイペースで控えめなところが、後輩芸人からすると接しやすい面でもありますし、キャリアを重ねても偉そうにしないのは視聴者の好感度にもつながります。彼らは今後も自分たちのペースで活動を続けていけるのではないでしょうか」
漫才技術の高さは誰もが知るところ。コンビでもう一度、花を咲かせることはできるのか。
(藤原三星)