アジア制覇を成し遂げた浦和のMF大久保智明もサプライズに値する。1998年7月23日生まれ。東京Vの下部組織育ちで中央大から2021年に浦和に加入した左利きのドリブラー。昨季後半戦から出番を増やしてリーグ戦23試合(先発13試合)に出場していたが、今季は開幕前の「控え要員」から「不動の主力」に立場を変え、リーグ戦11試合中10試合にスタメン出場している。

 スタート位置は右サイドだが、試合の中で中央、左サイドと自在にポジションを変えながら、鋭いドリブル突破で次々とチャンスを作り出している。得点力が課題だったが、リーグ戦唯一の途中出場となった第13節のG大阪戦で待望の今季初ゴール。今後、アシストだけでなくゴールという結果も残せば、現在のサプライズ感はより大きなものとなる。

 今季も上位争いを繰り広げている広島のMF越道草太も、今季のサプライズ選手として注目したい。2004年4月3日生まれ。広島県出身、広島ジュニアユースから生え抜きのサイドアタッカー。魅力はそのスケール感。身長180センチと大柄で、右利きながら左足も遜色なく操り、両サイドに対応可能だ。

 ユースから今季トップ昇格を果たしたばかりだが、第2節の新潟戦でJデビューを果たすと、第7節の鳥栖戦から直近の第13節の神戸戦までの6試合中5試合に右ウイングバックとしてスタメン出場し、第8節の横浜FC戦では右サイドからのクロスで東俊希の先制ゴールをアシストして見せた。19歳ながら判断力も含めて攻守に安定感のあるプレーを見せており、空中戦の強さもアドバンテージ。U-20W杯のメンバーからは漏れたが、日本人には希少な大型サイドアタッカーとして今後の成長が楽しみな選手だ。

 今季のJ2のサプライズといえば「町田の首位快走」だが、選手個人に目を向けると藤枝のFW渡邉りょうの名前が挙がる。1996年10月25日生まれ。東京都出身で、高輪高校、産業能率大を経て、2019年にJ3の沼津に加入。ほぼ無名の存在だったが、身長179センチの肉体に強さと速さを搭載し、ボックス内でのポジショニング、鋭い動き出しから正確かつ強烈なシュートを放つストライカーだ。

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残りシーズンでサプライズを起こす選手は?