「特別応援許可規程が導入されてから、応援団員の身元は球団とNPBに完全に把握されている。少しでも問題を起こせば即時の許可取り消し、以後の出入り禁止措置となる。また私設という名称だが球場を盛り上げる演者の位置付け。いわば関係者の一員であり、何か起きれば球場警備員と連携して事態収拾に動くこともある」(在京球団運営担当者)

「応援団は常連ファンとは顔馴染みとなっており身内感もある。しかし時に酒に酔うなどして無茶をする一般ファンの扱いには苦労する。少しでも揉め事に発展すると、自身の応援許可が取り消される可能性もある。『君子危うきに近寄らず』ではないが無視するしかない。腹立ちますけどね」(元在阪球団応援団)

 2005年オフからは特別応援許可規程が採用された。楽器や旗を使用して応援の統率をするためにはNPBへの登録と審査が必要となった。以降、段階的ではあったが、以前のような好き放題を行う悪質応援団は排除された。

 またNPBと各球団は反社会的勢力への対応も徹底している。4月8日の阪神ヤクルト戦(甲子園)を観戦した暴力団組員2人が逮捕されたのも記憶に新しい。今回の動きは、行き過ぎた行為をする一般ファンへの対応にNPBが動き出した形と言える。

「自浄作用が働く球団、ファンもいる。しかし結局は1人1人の道徳性やモラルにかかっている。それでも阪神と中日は球団が公式声明を出さざるを得ないと判断したのだろう。しかしこの問題はどこまで行ってもイタチごっこで、退場や出入り禁止などの厳しい罰則規定を設定しないと何も変わらない」(スポーツマーケティング関連会社関係者)

「ヤクルトファンは得点時の東京音頭に合わせて『くたばれ読売!』と歌っていた時期もあった。しかし応援団が主体となって動き今では歌われることは、ほぼなくなった。逆に他球団ファンが東京音頭の時に『くたばれ読売!』と歌うようになったのは皮肉です」(ヤクルト関係者)

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プロ野球の球場観戦が変わる?