AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
35歳で初産、しかも双子男子! ワンオペ育児の修羅場、過干渉の義父母との攻防、思春期男子とのヨレヨレの日々など、妊娠中から高校入学までの16年間を綴る。忙しい日々を乗り切る時間管理・効率化、学校やママ友との付き合い方、食事作りなど、ライフハックも充実。エッセイストとして家族の物語を多数書いてきた著者の初めての子育てエッセイの、仕事や育児で疲れ切った心に寄り添う一冊『ふたご母戦記』。著者の村井理子さんに、同書にかける思いを聞いた。
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今更言うまでもないことだが子育ては大変だ。もちろん大変なだけではないが、それを補って余りある大変さはやはりある。ましてや双子となれば尚更。この本は、初産で、双子で、高齢出産だった村井理子さん(52)の16年にわたる戦いの記録だ。
「私たちの世代はお母さんのワンオペ育児はよくあるケースで、私の周りも90%ぐらい男の人の助けがない状態でした。でも、今ももしかしたらその状況はあんまり変わってないかもしれないですね」
双子が幼児の頃の強烈なエピソードがある。育児というステージの上で脇役になろうとする夫。彼なりの一生懸命を理解しようとして、ますます一人で追い詰められていく妻。そして一通のメールをきっかけに何かが弾けた妻は、ふらふらと立ち上がりミルク缶を二つ抱えてガレージに行き、夫が大切にしているバイクにぶちまける。ワンオペ育児に疲れた母親ならきっと胸のすく思いがするだろう。
「外で仕事しているから育児はしなくていいという理不尽がまかり通っていて、自分でもそれでいいのかなと思ったけど違うよね、っていう怒りが爆発した感じです。こっちは怒ってんだ!という意思表示はできない人が多いと思うんですけど、一回やる方がいいんじゃないですかね」