(写真はイメージ/Gettyimages)
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 本連載の打ち合わせ中、担当編集者が「資産を銀行預金で持つのがよくないことは分かります。預けていても全然増えないことも。でも、額面より減ることはないから損もしない。投資なんて面倒だしよく分からないという人が『銀行預金のままでいい』という気持ちも分かるんです」と言い出した。しかし、この認識は間違っている。銀行預金はリスク資産なのだ。銀行預金の何が危険なのか、投資の初めの一歩としてお勧めなのは何かについて解説しよう。(経済評論家 塚崎公義)

預金はリスク資産

 銀行預金は安全だと思っている人は多いが、そんなことはない。インフレが来たら目減りしてしまう、リスク資産である。株や外貨は値下がりリスクがあるが、預金にはインフレで目減りするリスクがあるので、預金だけが安全資産だと考えるのは危険なのである。

 ここ数十年、日本では大したインフレは起きなかったが、長期的に考えれば、今後、少子高齢化による労働力不足で賃金が上がってインフレになる可能性は高そうだし、南海トラフ大地震などの大規模な災害があれば諸物価が数倍に跳ね上がる可能性もあろう。

 つまり、老後資金をすべて銀行預金で持つことは危険ということだ。インフレに強い株や外貨に老後資金の一部を振り分けておく方がむしろ安全なのだ。日本がインフレになって円の価値が下がり、同時に株価もドルも値下がりする、という最悪の事態に見舞われる可能性は大きくないからだ。

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銀行預金代わりの「守りの投資」なら何がいい?