外貨を持つなら米国株の投資信託で
外貨を持つと言っても、外貨預金や米国債はあまりおすすめできない。ドルを売り買いする手数料が比較的高いこともあるが、米国がインフレになるとドル安になって損をしてしまう可能性が高いからだ。したがって、具体的には、米国株の投資信託を毎月積み立てていくのが簡単で安全だろう。
ざっくり説明すると、米国がインフレになると米国人がドルを円に替えて日本に買い物に来るのでドルが安くなりやすく、日本がインフレになると日本人が円をドルに替えて米国に買い物に行くのでドルが高くなりやすい。ドルがインフレに強い資産だというのは、そうしたメカニズムを反映したものである。
バブルの頃までは、株式投資はバクチだと考えている人が多かったので、高齢者の中には「株に手を出すなんて嫌だ」と考えている人も多いかもしれない。しかし今は、政府が「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」などという掛け声で投資を呼びかけており、NISAやiDeCoのように税金が優遇される商品もあるのだから、毛嫌いせずに前向きに検討してみてはいかがだろうか。
銀行預金代わりの「守りの投資」なら何がいい?
ちなみに、株式投資は少ない銘柄を短期売買すればバクチだが、長期投資で多くの銘柄を、時間をかけて少しずつ買えばバクチの要素を大幅に軽減することが可能だ。投資信託の積み立て投資は、まさにそうした投資手法である。
投資信託であれば、組み入れ銘柄の中には上がる銘柄も下がる銘柄もあるだろうし、積み立て投資であれば安い時にも高い時にも少しずつ買うことになるから、大損をする可能性はかなり小さくなる。配当利回りが預金金利より高いこと等々を考えれば、リスクに見合ったリターンは十分に狙えると言っていい。
「投資は難しいので勉強しないと無理だ」と考えている人も多いだろうが、まずは米国株の投資信託を毎月1万円ずつ購入するだけでよい。これなら、特に勉強する必要はないだろう。上手に投資して大もうけしよう、と考えるならば勉強が必要だが、インフレに弱い銀行預金の弱点を補うという守りの投資であれば、難しいことを考える必要はないはずだ。投資信託なら多くの銘柄を少しずつ買ってくれるので、どの銘柄が値上がりしそうか、などと考える必要はないのだ。