では日本には現在、どれだけの数の移民がいるのか? 

 法務省は3カ月以上、日本に住み続ける外国人を中長期滞在者として扱っているが、その数は広島県の人口を上回る307万人に上る。コロナ禍による入国制限によって増加は止まっていたものの、入国規制の緩和により半年間で一挙に20万人増加した。日本人の人口が毎年70万人以上減る中で、今後、在留外国人は毎年30万人程度、増え続けるだろう。この現実を直視する必要がある。

移民が日本の未来をひらく

 考えてみれば人手不足が厳しい介護現場でも、外国人介護士が増えている。またコンビニのサンドイッチや弁当を作っている外国人も多い。日本社会の目に見えない裏側で彼らは働いている。

 日本の人口減少、労働力不足を補うかのように在留外国人は増え続けているのだが大きな問題がある。それは日本語の読み書きができない外国人が極めて多いことだ。非正規労働、派遣・請負労働の割合が極端に高く、外国人の子どもの高校進学率が60%と極めて低い。一過性の滞在者としてしか社会が彼らを扱ってこなかったことは明らかだ。

 拙著『人口亡国――移民で生まれ変わるニッポン』は移民についての誤解を解いて、ちゃんと移民が働ける国になることを意図している。人口激減期に入りながらも、正式に移民受入れを認めない移民ジレンマから脱却する必要がありながら、なぜ日本で移民がタブーになったのかを明らかにしている。

 移民の受入れは、日本の伝統に反するものではない。むしろ、異文化、移民を受入れ続けてきてイノベーションを起こし、世界でも独自の文化を発展させてきたのが日本ではないだろうか。移民こそが日本の未来を切りひらく、古くて新しい方法だというのが本書のメッセージといえるだろう。

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